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新人王とは
各チーム残り10試合を切り、ペナントレースが佳境を迎えています。
そんな中、セ・リーグの最優秀新人(通称「新人王」)も過去に例をみないほどの混戦になっています。
新人王の有資格者は、
- 海外プロリーグに参加した事がない
- 最初の支配下登録から5年以内
- 投手として前年までの一軍登板が30イニング以内
- 野手として前年までの一軍での打席が60以内
を満たす選手です。
全国の新聞、通信、放送各社に所属しているプロ野球取材歴5年以上の記者による投票によって選出されます。
今回のコラムでは、セ・リーグ有力新人を紹介し、新人王に輝く選手を予想します(敬称略)。
※成績はすべて10月18日現在
有力5選手
佐藤輝明(阪神タイガース)
シーズン当初から阪神・佐藤輝明がホームランを量産しました。ホームランを放った際にベンチ前カメラに披露する、大好きなアイドルグループももいろクローバーZの「Zポーズ」はすっかりおなじみになりました。
栗林良吏(広島東洋カープ)
広島の守護神・栗林良吏は開幕から安定したピッチングを見せ、ここまで35セーブ、防御率0.72と新人らしからぬ圧倒的な成績を残しています。
牧秀悟(横浜DeNAベイスターズ)
DeNAの牧秀悟は、外国人選手の合流遅れもあり開幕戦から「3番・一塁」でスタメン出場を果たすと、そのチャンスを活かしレギュラーに定着しています。
奥川恭伸(東京ヤクルトスワローズ)
中野拓夢(阪神タイガース)
ヤクルト快進撃の立役者となっている2年目の奥川恭伸はここまで9勝を挙げており、阪神・中野拓夢は現在27盗塁でセ・リーグの盗塁王候補です。
1998年のセ・リーグ新人王争い
さて、今シーズンのセ・リーグ新人王予想を発表する前に、今回同様高いレベルで争われた1998年をご紹介します。
明治大学から大学の先輩である星野仙一監督率いる中日ドラゴンズへ入団した川上憲伸は、開幕からローテーション入りし14勝6敗、防御率2.57という成績を残しました。
慶應義塾大学から読売ジャイアンツに入団した高橋由伸は、開幕戦に7番ライトでスタメン出場すると、後半戦からは5番打者に定着し、打率.300、19本塁打、75打点の成績を残しました。また、新人外野手としては史上初のゴールデングラブ賞も受賞しました。
阪神タイガースの坪井智哉は、開幕直後にレギュラーに定着すると、イチローばりの振り子打法で2リーグ誕生以後の新人最高打率となる.327をマークしました。「PL~青学~東芝~坪井」の応援歌でも有名です。
社会人プリンスホテルから広島東洋カープに入団した小林幹英は、セットアップ、クローザーとして54試合に登板し、9勝18セーブを記録しました。
4人のルーキーが好成績を残し、誰が新人王に選ばれるにしろ接戦が予想されましたが、結果は
- 川上憲伸111票
- 高橋由伸65票
- 坪井智哉12票
- 小林幹英5票
- 無効3票
と大差で川上憲伸が選ばれました。2位高橋との46票差は、直接対決22打数1安打の結果が大きく反映されたのかもしれません。
惜しくも新人王を逃した3人には、新人に対しては初となるセ・リーグ会長特別表彰が贈られました。
今年のセ・リーグの新人王は?
これまでも熾烈な新人王争いが繰り広げられたシーズンがありましたが、これだけ多くの選手が高いレベルで新人王を競い合ったことはなかったのではないでしょうか。
佐藤輝明(阪神)は、三振を恐れないフルスイングと、新人離れした飛距離で前半戦だけで20本のアーチを描き、チームの躍進に大いに貢献しました。横浜スタジアムで放った場外ホームランは強烈なインパクトを残しました。しかし、後半戦で59打席連続無安打を記録するなど一気にペースダウンしてしまいました。
中野拓夢(阪神)は、長年固定できていなかった阪神のショートの座を掴み、打率は.272で盗塁27はリーグトップ。同じ阪神で堅実な守備と勝負強い打撃で1992年に新人王を獲得した久慈照嘉(打率.245、盗塁4、犠打24)を上回る成績を収めています。
奥川恭伸(ヤクルト)は、9勝を挙げチーム快進撃のキーマンであることはもちろん、9試合連続クオリティスタート(先発で6イニング以上を投げ自責点3以下)、連続無四球記録54イニング1/3を達成するなど抜群の安定感が光ります。また、同じく記者投票で決まるMVP(最優秀選手)ほどではないにしろ、優勝や、優勝争いしたことを選考基準に加える投票者も一定数存在するはずで、現在首位のヤクルトがこのまま優勝すれば投票数が増えるかもしれません。
牧秀悟(DeNA)は、9月以降調子を上げ、打率.298、22本塁打、67打点の好成績を挙げており、例年であればダントツで新人王に輝いている成績です。また、8月には新人選手としては史上初のサイクル安打し、記録にも記憶にもインパクトを残していることが投票数に繋がるでしょう。
そんな有力選手がひしめく中でも、私は栗林良吏(広島)が選ばれると思います。
ここまでリーグ2位の35セーブを挙げているだけでなく、防御率0点台と驚異的な成績を収めています。救援失敗もわずか1回しかありません。
もし広島が優勝争いしていたらMVPの有力候補になっていてもおかしくないレベルの成績です。また、打者と投手、先発投手とリリーフ投手と数字的な比較が難しい中では、成績はもちろんのことですがどれだけインパクトを残せたかが投票を左右します。
シーズン中の圧倒的な成績はもちろんのこと、東京オリンピックで守護神として金メダル獲得の立役者となったことも栗林への投票を後押しすることでしょう。
今年のペナントレースも残りわずか。
熾烈な優勝争いとともに、ハイレベルな新人王争いを見届けましょう。
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