
年々暑さが厳しくなる日本の夏。
気温が35度を超える日が続き、各地では「熱中症警戒アラート」が発令され、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられることも珍しくなくなりました。
通勤時の満員電車や炎天下での移動は、もはや業務上のリスクとも言える状況です。
こうした酷暑の影響もあり、改めてリモートワークの重要性が注目されています。
コロナ禍において多くの企業で普及したリモートワークは、最近では、台風や大雪など通勤や出社が困難な気象条件下での柔軟な働き方の手段として活用されています。
リモートワークは企業活動の持続性を高める上で重要ですが、そのための環境準備が進んでいないと逆に課題に直面し、企業の生産性を低下させかねません。
リモートワークにおける代表的な課題としては、オフィスワークと比較しコミュニケーションが円滑に進まないことがある、個々の活動や業務の進捗を把握しにくくなるといったことが挙げられます。
しかし、こうした課題の多くを、実はSaaSツールを活用することで解消することができます。
今回は、リモートワークする上で役立つSaaSツールを5つご紹介します。
どれも現場目線で実用的なツールばかりです。
導入済みの方も、まだの方も、ぜひチェックしてみてください。
法人向けの名刺管理アプリ
顧客との取引によって成り立つ企業活動において、顧客情報の管理と共有はとても重要です。
自社の営業マンがどの企業の誰にアプローチをしていて、どういった内容の商談を重ねているかを把握することで顧客に対する組織的な対応が可能になり、取引の成約率を高めることができます。
オフィワークで担当者が近くにいれば、そうした細かな情報を本人に直接確認することができますが、リモートワークではそうもいきません。
このようなケースでは法人向け名刺管理アプリによる接点情報の共有が役立ちます。
法人向け名刺管理アプリは単に名刺をデータ化し管理するだけでなく、誰が、いつ、どのような経緯で接点も持ったであったり、相手側の企業の誰とどのような打ち合わせを積み重ねているかを可視化してくれたりします。
つまり、法人向け名刺管理アプリを利用することで情報の属人化を防ぎ、組織レベルでの顧客対応が可能になります。
また、顧客情報がクラウド上にあるため、オフィスだけでなくリモート環境でも顧客情報へのアクセスが可能。移動中などに相手企業の担当者情報や商談の経緯を確認することができるため、訪問準備が効率化するだけでなく、訪問後すぐお礼メールを送るなどスピード感のある顧客対応も可能になります。
さらに、CRMツールやメール配信ツールなど他の営業支援ツールの効果を最大限に発揮するためには、まず顧客情報である名刺がデータ化され活用可能な状態に整理されている必要があります。
つまり、法人向け名刺管理アプリを利用することは営業DXの第一歩と位置づけることができます。
法人向け名刺管理アプリは機能面やコスト面でサービスによって差があるため、導入を検討する場合は、必要な機能や名刺管理の規模感、また予算などを事前に決めておくことで自社にとって最適な名刺管理アプリをある程度絞り込むことができます。

オンライン会議ツール
リモートワークにおいて欠かせないのが、オンライン会議ツールです。
特にメールやチャットなどテキストを主体としたコミュニケーションが多くなるリモートワークでは相手の表情が見えるオンライン会議は円滑なコミュニケーションを行う上で重要です。
オンライン会議ツールには画面共有や録画機能、チャットなど、会議に必要な機能が揃っており、どこにいても対面に近い形で打ち合わせができます。
シンプルなUIと通信面で高い安定性を誇るZoomは、アカウントなしでも参加可能で、ウェビナーなど大人数が参加する社外のイベントなどでの利用に最適です。また、ブラウザーで動作が完結しアプリが不要なGoogle MeetはGoogleカレンダーなどと連携できるため便利です。
Microsoft 365との親和性が高いTeamsはチャットやファイル共有も可能で、企業内で利用するツールとして最適です。

プロジェクト管理ツール
仕事の進行状況が見えにくくなるのもリモートワークの大きな課題の一つです。
プロジェクト管理ツールは、誰が、いつまでに、何をするかを可視化し、進捗や課題を共有するのに役立ちます。
UIも含め日本語対応しているBacklogは、ガントチャートや課題管理、コメント機能が充実していて、IT未経験者からエンジニアまで幅広く利用できる使いやすさが特長です。
AsanaやTrelloはシンプルで直感的な操作感が特長で、タスクやプロジェクトの進行状況を視覚的に管理しやすいツールです。
Notionはタスク管理だけでなくドキュメントやデータベース、Wikiの管理が可能で、情報共有と業務管理をオールインワンで行うことができます。
これらのツールを活用することで、進捗確認のための会議は減り、自己管理意識やチーム連携が進みます。

クラウドストレージ
業務に関わる様々なドキュメントが保管されている社内ファイルサーバは、セキュリティの観点からオフィス勤務での利用を前提としていることがほとんどです。
そのため、リモート環境からの社内ファイルサーバへのアクセスは制限されているか、仮に許可されている場合も一般的にはVPN接続が義務付けられています。
VPN接続によるアクセスは通信速度が低下しやすく、大容量のファイルなどを扱う場合、アップロードやダウンロードに時間がかかり作業効率が低下することがあります。
また、VPNはPC向けであることが多くスマートフォンなどからのアクセスが困難であるためモバイルワークとの相性が良くありません。
そのため、リモート環境やモバイル環境でドキュメントを保管、共有する場合、クラウドストレージがとても便利です。
代表的なサービスであるGoogle DriveやDropboxは、ファイル共有・共同編集・バージョン管理が可能で、アクセス権限の設定や監査ログの取得もできるため作業の効率化だけでなくコンプライアンス強化にも有効です。

ビジネスチャットツール
オフィスワークと比べ物理的な距離感から、どうしてもコミュケーションが不足しがちなリモートワーク。ツールなどを活用し円滑なコミュニーションを図る場合は、コミュニケーションのしやすさや即時性が非常に重要です。
メールは一般的ですが、形式ばった文面になるためどうしても作成に時間を要すだけでなく、内容も本題に入るまでが冗長です。また、受信したことに気付かなかったり、やり取りや添付データなどが埋もれやすかったりします。
これに対しSlackやChatworkなどのビジネスチャットツールは形式ばった文章も必要なく、やり取りもスピーディーに行うことができます。また、SLACKはスレッド型の会話もでき、過去のやり取りも検索しやすいのが特徴です。
前述のTeamsはビジネスチャット機能に加え、Officeツールとも連携しているため、ドキュメント共有も容易です。
ビジネスチャットを活用しリアルタイムでコミュニケーションを図ることでリモートワーク特有の孤立感を和らげることができます。また、チャットに参加しているメンバー全員に情報共有ができるため、帰属心の低下などを防ぐことができます。

まとめ
リモートワークを円滑に進め組織の生産性を上げるためには、単に働き方をフレキシブルだけでなく、それに適した業務環境の整備が不可欠です。
今回紹介したSaaSツールはどれもリモートワークにおける主要な課題をカバーし、生産性と連携力を高めてくれます。
働く環境がオフィス中心からリモートやモバイルワークを取り入れたハイブリッドなスタイルへと移行している今、必要なツールを正しく選び、組織で活用することが、業務効率だけでなく従業員の満足度のを高める上でも重要です。
そしてリモートワークの環境整備を行うことで、企業活動の持続性は高まり、競争力のある組織にすることができます。