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溜まっていく名刺の処分に困っていませんか?
名刺には氏名や連絡先といった重要な個人情報が含まれており、安易に捨ててしまうと情報漏洩のリスクがあります。今回は、もらった名刺を安全かつ適切に処分するための具体的な方法を解説します。
個人情報を守りながら、安心して名刺を整理できるよう、自分でできる処分方法から専門業者への依頼、さらに処分する際の注意点や最適なタイミングまで、網羅的にご紹介します。

名刺を捨てるときの注意点
もらった名刺を処分する際には、いくつかの重要な注意点があります。特に、安易な方法で捨ててしまうと、個人情報や機密情報の漏洩につながり、思わぬトラブルやリスクを招く可能性があるため、慎重な対応が求められます。
個人情報・機密情報の漏洩リスク
名刺には、相手の氏名、会社名、役職、連絡先(電話番号、メールアドレス、住所)など、多くの個人情報や企業の機密情報が含まれています。
これらの情報が外部に漏洩することは、個人だけでなく企業にとっても重大な損害をもたらす可能性があります。一度外部に流出すれば回収が困難であり、取り返しのつかない事態に発展する恐れがあります。
情報漏洩による影響
名刺の情報が漏洩した場合、以下のような影響が考えられます。
- 個人への被害:詐欺やなりすまし、迷惑メール・電話の増加、プライバシー侵害など。
- 企業への被害:社会的な信用失墜、ブランドイメージの低下、顧客離れ、損害賠償請求、法的措置、業務停止命令など。
- 取引先への影響:取引先の情報が漏洩することで、その企業にも損害を与え、ビジネス関係の破綻につながる可能性。
これらのリスクを避けるためにも、名刺の処分は細心の注意を払って行う必要があります。
法律・コンプライアンス遵守の重要性
名刺の処分は単なるゴミ捨てとは異なり、法律や企業が定めるコンプライアンスに則って行う必要があります。
個人情報保護法との関連
日本では「個人情報の保護に関する法律」(通称:個人情報保護法)により、個人情報を取り扱う事業者には適切な管理が義務付けられています。名刺に記載された情報は、この法律における「個人情報」に該当します。そのため、名刺の処分においても、個人情報保護法の遵守が求められます。
適切に処分しなかった結果、情報漏洩が発生した場合、企業は行政指導や罰則の対象となるだけでなく、社会的な信頼を失うことになります。
企業の信用失墜リスク
情報漏洩は、企業の信用に直接影響を与えます。一度失われた信用を取り戻すのは非常に困難であり、長期的な企業活動に悪影響を及ぼします。顧客や取引先からの信頼を維持するためにも、名刺を含むあらゆる情報の適切な管理と処分は、企業の社会的責任として非常に重要です。
破棄する名刺の選別
名刺を処分する前に、本当にその名刺が不要であるか、またデータ化されているかなどを慎重に確認することが重要です。
必要な名刺と不要な名刺の区別
名刺の中には、今後も連絡を取る可能性がある相手や、業務上保管が必要なもの(例:税務処理に必要な経費関連の名刺など)が含まれている場合があります。安易にすべてを処分するのではなく、一つひとつの名刺を精査し、本当に不要なものだけを選別しましょう。
選別する際は、以下の点を考慮したうえで、ご自身で決めましょう。
- 今後連絡を取る可能性のある相手か?
- 過去の取引やプロジェクトに関連する重要な情報が含まれているか?
- 法的な保管義務があるか?
- データ化が完了しており、原本が不要になったか?
データ化の有無
名刺をスキャナーや名刺管理アプリなどでデータ化している場合でも、原本の処分には注意が必要です。
データが完全にバックアップされ、アクセス可能な状態であることを確認してから、原本の処分を検討しましょう。また、データ化された情報も、セキュリティ対策を講じて適切に管理する必要があります。
名刺を処分する方法
もらった名刺には、氏名、会社名、役職、連絡先といった重要な個人情報や企業情報が詰まっています。これらの情報を適切に管理し、不要になった際には情報漏洩のリスクを最小限に抑える方法で処分しなければいけません。
名刺の処分方法は大きく分けて「自分で処分する方法」と「業者に委託する方法」の2つがあります。それぞれの方法と注意点について詳しく解説します。
自分で処分する場合
ご自身で名刺を処分する際は、名刺に記載された情報が完全に判読不能になるように処理することが大前提です。安易にゴミ箱に捨てることは、情報漏洩に直結する危険な行為ですので絶対に避けましょう。
シュレッダーで細断する
最も一般的な方法の一つが、シュレッダーによる細断です。家庭用から業務用まで様々なタイプのシュレッダーがありますが、情報漏洩のリスクを考慮すると、細かく裁断できるクロスカット方式のシュレッダーがおすすめです。
ストレートカット方式では、細断された紙片を繋ぎ合わせることで情報が復元される可能性がゼロではないため、注意が必要です。
ハサミで細かく切る
シュレッダーがない場合でも、ハサミを使って名刺を処分することは可能です。ただし、氏名、会社名、電話番号、メールアドレスなど、個人を特定できる情報が判読できないレベルまで、細かく切る必要があります。
特に、氏名や会社名、電話番号の数字の羅列などは、少しでも残っていると情報が復元される可能性があるため、慎重に作業を行いましょう。

業者に委託する場合
大量の名刺を処分したい場合や、より高いセキュリティレベルでの処分を求める場合は、専門業者に委託する方法が安心です。業者に依頼することで、確実に情報が処理されるだけでなく、処分にかかる手間も大幅に削減できます。
機密文書処理サービスを利用する
名刺を含む機密性の高い書類の処分を専門とする業者は、溶解処理や破砕処理といった、個人では難しい高度な方法で情報を完全に抹消します。これらのサービスは、情報漏洩のリスクを極限まで抑えることができ、処分証明書を発行してくれる業者も多いため、企業はもちろん、個人事業主の方にもおすすめです。
業者を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
確認項目 | 詳細 |
---|---|
セキュリティ体制 | 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証やプライバシーマークなどの取得状況、運搬から処理までの管理体制 |
処理方法 | 溶解処理、破砕処理など、どのような方法で情報を抹消するか |
処分証明書 | 確実に処分されたことを証明する書類が発行されるか |
費用 | 料金体系、最低料金、追加料金の有無 |
実績 | 過去の取引実績や利用者の評判 |
複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

名刺を捨てるタイミング
もらった名刺を無計画に保管し続けると、保管スペースを圧迫するだけでなく、いざ必要な時に目的の名刺を見つけ出すのが困難になります。
また、不要な名刺を放置することは、個人情報漏洩のリスクを高めることにもつながります。適切なタイミングで名刺を整理し、不要なものを処分することが重要です。
名刺の役割が終わった時
名刺は、ビジネスにおける関係構築の第一歩として重要な役割を果たしますが、その役割は永続的ではありません。以下のような状況になった名刺は、処分を検討するタイミングと言えます。
- 商談やプロジェクトが終了し、今後連絡を取る可能性が低いと判断できる場合。
- 名刺交換から長期間が経過し、一度も連絡を取っていない、または関係性が希薄になった場合。
- 相手が退職・異動などで連絡先が変わったことが判明し、最新の情報が手元にある、または連絡先が不要になった場合。
- 名刺に記載されている情報(役職、部署、連絡先など)が大幅に古くなっている場合。
ただし、将来的に再度連絡を取る可能性がゼロではないと判断する場合は、データ化し、物理的な名刺は処分するという方法も有効です。
名刺をデータ化した後
近年では、名刺管理アプリやCRM(顧客関係管理)ツールを活用し、名刺の情報をデータとして一元管理することが一般的になっています。物理的な名刺をスキャンしてデータ化した場合、原則としてその物理名刺は不要になります。
しかし、データ化直後にすぐに処分するのではなく、以下の点を確認した上で処分を検討しましょう。
- データの正確性:スキャンした情報が正確に読み取られ、誤字脱字がないかを確認します。特に、電話番号やメールアドレスなどの連絡先は慎重に確認しましょう。名刺アプリの修正サービスも100%ではありません。
- バックアップの有無:データが適切にバックアップされているかを確認します。万が一のデータ消失に備え、クラウドサービスや別のストレージに保存しておくことが推奨されます。
- 法的・社内規定上の保管義務:ごく稀に、特定の契約や取引に関連する名刺が、法的または社内規定によって一定期間の物理保管が義務付けられている場合があります。念のため、所属組織の規定を確認することをおすすめします。
これらの確認が完了し、物理名刺が不要であると判断できた時点で、適切な方法で処分しましょう。
定期的な名刺整理の実施
名刺は一度交換したら終わりではなく、定期的に見直し、整理する習慣を持つことが大切です。以下のようなタイミングで、名刺の整理と不要な名刺の処分を習慣化することをおすすめします。
定期的な整理は、必要な情報へのアクセスを容易にするだけでなく、不要な個人情報の管理による情報漏洩リスクを低減し、精神的な負担を軽減する効果も期待できます。
処分するべきでない名刺
ほとんどの名刺は、役割を終えたりデータ化されたりすれば処分可能ですが、中には安易に処分すべきではない名刺も存在します。以下のような名刺は、慎重な判断が必要です。
- 現在進行中の重要なプロジェクトや商談に関わるキーパーソンの名刺。データ化していても、万が一の事態に備えて物理名刺も保管しておくことが望ましい場合があります。
- 法的な保管義務がある名刺:非常に稀なケースですが、特定の契約書や重要な書類の一部として名刺が添付されており、その書類の保管義務に伴い名刺も保管が必要となる場合があります。これは一般的なケースではありませんが、念のため確認が必要です。
- 社内規定で保管が義務付けられている名刺:特定の業界や職種において、コンプライアンス上の理由から名刺の物理的な保管が義務付けられている場合があります。所属組織の規定を事前に確認しましょう。
これらの名刺は必要に応じて厳重に保管するか、データと併せて物理名刺も残すなどの対応を検討してください。
まとめ
いかがですか?
名刺は個人情報の塊です。気軽にごみ箱に捨ててしまうと個人情報漏洩につながる可能性があることはもちろん、名刺管理アプリでは画像が残ることが多いですが、CRMでは内容を再確認することもできません。
名刺を処分する際には、しっかりと自分自身で考え、捨て方やタイミングを配慮し、名刺の取り扱いには十分注意しましょう。