2013年に放送され、最終話では42.2%という驚異的な視聴率を叩き出した伝説のドラマ「半沢直樹」。
「下町ロケット」や「ルーズベルトゲーム」などのヒット小説で知られる池井戸潤氏の「オレたちバブル入行組」、「オレたち花のバブル組」をベースとしたこのドラマは、一般的に視聴率が取りにくいとされる経済ドラマというジャンルにおいて異例の快挙を成し遂げています。
主人公半沢直樹の決めゼリフ「倍返し」は放映された年の流行語大賞にも輝き、当時は社会現象にまでなりました。
人気の秘密はなんといっても主人公半沢直樹の歯に衣着せぬ物言いと、わかりやすいストーリー。
銀行内にはびこる不正を半沢直樹が次々と暴き、悪代官を彷彿させる上司を成敗していくというものです。
日本人が好む「勧善懲悪」ドラマであり、半沢直樹の言葉は世の中の多くのビジネスマンに元気と活力を与えたのではないかと思います。
その半沢直樹が7年ぶりに新シリーズとして復活。
現在第7話まで終了し、物語は徐々に佳境へと差しかかっています。
7年のブランクがありながら、人気は今なお健在。
毎週放送後にはSNSを中心に出演者たちの鬼気迫る演技や顔芸が話題となっています。
ツイッターでは#半沢直樹が7週連続トレンド世界一になるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いが続いています。
新シリーズも毎話名言ラッシュ
前回シリーズ同様、前半後半で2部構成となっている新シリーズ。
前半は出向先の東京センントラル証券でIT企業の買収案件をめぐり親会社の東京中央銀行と対立する「ロスジェネの逆襲」、後半は帝国航空の再建をかけ政府と対立する「銀翼のイカロス」をベースとしています。
「施されたら施し返す。恩返しです」
「お・し・ま・い・デス(death)」
「詫びろ(口パク含め8連発)」
「誰がお前なんかと、死んでも嫌だね」
「銀行沈没(チンヴォツ)」
など毎話飛び出すキャッチーな言葉がSNS上で話題となる一方、心を揺さぶる名言も数多く飛び出しています。
今回はそんな名言をいくつか紹介します。
全ての物事を常に顧客軸で考える
君たちはこの一週間何をしていた?
君たちは買収予定のスパイラルについてどれだけ調べた。
徹底的に調べて、まずは今回の買収が電脳の成長戦略として正しいかどうかを見極めるのが先決だろ。
場合によってはスパイラルを買収しないという選択肢だってあるはずだ。会社の都合を顧客に押し付けるな。
顧客のためにあらゆる可能性を検討しろと言っているんだ。
いい加減な提案をしてみろ、うちへの信頼はガタ落ちになるぞ。(TBSドラマ「半沢直樹」第一話より)
大手IT企業の電脳雑技集団によるスパイラル買収計画において、そのアドバイザーを任されたセントラル証券。
契約は成功報酬であることから、普通に考えれば「買収をしない」という選択肢はあり得ません。
にも関わらず半沢は部下が作成していた提案書を見て前述の通り発言します。
仮に顧客が買収を望んでいたとしても、本当にそれが正しい道か金融のプロとしてまずは徹底的に分析するのが筋であり、そのための労力を惜しむなと叱咤しています。
企業ではどうしても成果や効率が優先されます。いかに最大限の成果を出すか。そしてそのためにいかに効率よく仕事をするか。ビジネスマンは常に優れた成果への最短ルートが求められます。
成果や効率を追求することは企業人として当然のことですが、それが強くなり過ぎてしまうと自分たちの都合を顧客に押し付けることになります。
本来、ビジネスにおける労力は全て顧客のためのものでなければなりません。
そんなことを気付かされるシーンです。
半沢は首尾一貫して顧客軸で物事を判断します。
銀行でも証券でも、働く場所が変わってもブレずにそれを貫きます。
そんな芯の強さがとても魅力的です。
どんな局面でも貫かれる「顧客第一」の精神
全ての物事を顧客軸で考えるという半沢の考え方のベースには東京中央銀行、そしてそのリーダーである中野渡頭取の考え方が強く影響しています。
東京中央銀行は「顧客第一」というスローガン(経営理念)を抱えています。
顧客第一。
それがわれわれの使命だ。
銀行も証券もそれぞれの顧客のためにベストを尽くしてくれればいい。
では、頑張ってくれたまえ。(TBSドラマ「半沢直樹」第二話より)
スパイラル買収のアドバイザー契約を結んだ東京セントラル証券ですが、東京中央銀行の伊佐山証券営業部長の画策により、案件を強奪されます。ここで半沢率いる東京セントラル証券の営業企画部は、なんと電脳が買収しようとしていたスパイラルとアドバイザー契約を締結し銀行と真っ向対立することになります。
半沢は中野渡頭取のもとへ出向き、経緯を報告。その上で顧客のために全身全霊をかけ東京中央銀行と電脳を叩き潰すと宣言します。
その際、中野渡頭取が半沢にかけた言葉が前述の言葉です。
この「顧客第一」という言葉については第7話でも取り上げられます。
電脳雑技集団の粉飾を見破りその功績から銀行に返り咲いた半沢は、頭取から新たに帝国航空の再建と融資していた約700億円の債権回収を任されます。
その矢先、政府が帝国航空の再建に参入。
取引銀行に対し一律70%の債権放棄を迫ります。
さらに、金融庁検査により金融庁への虚偽報告が明るみに出た東京中央銀行は業務改善命令を受けます。
これに対し頭取は陳謝。
銀行への風当たりが厳しくなる中、顧客のために自分たちが考える再建案を貫き通すか、それとも政府や世論を敵に回すことなく銀行のイメージを保つか。
そんな中開かれた役員会議で半沢はこう述べます。
大和田さんは先ほど世の中の信頼を得ることが最優先だとおっしゃいました。
しかし、そのためにわれわれがやるべき事は政府の言いなりになることではないはずです。正しい与信判断をして、融資をし、回収する。
それがわれわれ銀行員の使命です。
この原則を維持できるにも関わらず、金融業の本質を自ら放棄するのですか?
天下の東京中央銀行の判断として、本当にそれが正しいとお思いですか?大変失礼ながら頭取が金融庁の意見書を受け取られ頭を下げられたのは政府に屈したからではないはずです。
われわれ東京中央銀行は正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると素直に認める銀行だと世間に示すためのものだったのではありませんか。顧客第一。それが頭取のそして当行のスローガンです。
帝国航空に必要なものは債権放棄ではありません。
10年後、20年後を見据え、自分達の力で利益を出していく、そんな真っ当な、当たり前の仕組みです。
そのことはみなさんも重々ご承知のはず。
にも関わらず、見え透いた政治ショーに加担して巨額の損失を計上するのですか?それこそ目先のことに捉われて大局が見えていないのではありませんか?私は東京中央銀行の一員として、
人々の暮らしを豊かにする、そのお手伝いをする銀行の一員として、
この結論を変えることはできません。
債権放棄は断固として拒否するべきです。<半沢の言葉を受け宿敵大和田もこう述べます>
昔に頭取に一度こう言われたことがあります。
世間の評価は世間の評価。
バンカーとして一番大切なことを忘れてはならないと。みなさん、帝国航空もわれわれの一顧客です。
帝国航空のことを第一と考えるのであれば、いくら世間から罵声を浴びせられても顧客第一の精神を貫き通すべきではありませんか。この500億は頭取のおっしゃる通り、東京中央銀行のプライドです。
簡単に捨てるわけにはいかない。
私は半沢君の稟議を全面的に指示します。(TBSドラマ「半沢直樹」第七話より)
例え政府からの要請であっても、理不尽な要求には決して屈しないのが半沢直樹です。
政府や世論を敵にまわしてでも、一流のバンカーとして顧客第一を全うしようとします。
企業の存在意義とは?そして企業を構成する人としてあるべき姿とは?
なぜそこまで顧客第一にこだわるのか、その答えは企業の存在意義にあります。
前半のクライマックスである第四話では、企業の存在意義とその中で働くものとしてのあるべき姿について半沢はこう述べます。
仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。
その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで卑屈で醜く歪んでいく。
伊佐山や三笠や大和田みたいな連中が増えれば、当然組織は腐っていく。
組織が腐れば世の中も腐る。森山、これからお前は色んな相手と戦うことになるだろう。
だがな、最初の敵はいつも自分自身だ。
勝敗は時の運だが、決して自分の構えを崩すな。
いつまでも鋭い太刀筋の森山でいてくれ。これは俺の願いだ。(TBSドラマ「半沢直樹」第四話より)
銀行に限らず、本来企業は社会、すなわち世の中を良くするという使命を持っています。いつの時代も企業活動とは社会貢献を前提としたものです。
学生時代、就職活動をしていた頃は、誰しも「仕事を通じて社会(世の中)のために貢献したい」そんな言葉を口にしたことがあるはずです。
しかし、いざ社会人になり長年企業勤めをしていると、社会(世の中)のために仕事をしているという意識は薄れ、逆にまわりと比べて自分の評価や出世ばかりを気にしてしまうことがあります。
半沢の言う通り、内向きな仕事は卑屈で歪んでいます。
保身により、正しいことを正しい、間違っていることを間違っていると判断できないことがあります。
「企業活動の本質は世の中を良くすること」
この大原則を忘れず、物事をフラットに見つめることが大切だと気付かされます。
真の勝ち組とは
半沢ファンであれば言わずと知れた名言を最後にご紹介します。
物語の前半「ロスジェネ世代の逆襲」で銀行との戦いに勝利し、出向先から銀行に復帰することになった半沢。
東京セントラル証券を離れる時に部下たちに贈った言葉です。
株式会社スタートトゥデイの前澤友作社長が「泣いた」とツイートしたことでも知られるシーン。
仕事への向き合い方ついて考えさせられます。
「勝ち組」「負け組」という言葉がある。
私はこの言葉が大嫌いだ。
だが私が銀行からここに赴任したときによく耳にした。
銀行は「勝ち組」、俺たち子会社の社員は、プロパーの社員は「負け組」だってな。
それを聞いてもちろん反発する者もいたが、大半は「自分はそうだ」と認めてた。だが今はどうだ。
君たちは大銀行が総力を挙げてもなしえなかったことを成し遂げた。
「負け組」だと思っていた君たちがだ。大企業にいるからいい仕事ができるわけじゃない。どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し、達成感を得ている人のことを、本当の「勝ち組」というんじゃないかと俺は思う。
ここは若い会社だ。
君たちは40代から20代。大半は就職氷河期で苦労をした人間だ。
そうした事態を招いた馬鹿げたバブルは、自分たちのためだけに仕事をした連中が顧客不在のマネーゲームを繰り広げ、世の中を腐らせてできたものだ。
その被害を被った君たちは俺たちの世代とはまた違う見方で組織や社会を見てるはずだよ。そんな君たちは10年後、社会の真の担い手になる。
君たちの戦いは、この世界をきっとよりよくしてくれるはずだ。どうかこれからは胸を張って、プライドを持って、お客様のために働いてほしい。
たとえ相手が銀行でも遠慮することはない。
君たち世代の逆襲を…いや、君たちの「倍返し」を、私は心から期待してる。(TBSドラマ「半沢直樹」第四話より)
まとめ
常に公明正大なスタンスで、相手が誰であろうと自らの信念を貫き通す半沢直樹。
顧客に対し真摯に向き合い最善を尽くすその姿は、まさにビジネスマンの理想の姿です。
半沢直樹のような一流のビジネスマンを目指すのであれば、そのベースとなる確固たる座標軸のようなものが必要です。
これはコンセプトという言葉でも置き換えられます。
前述の「顧客第一」もこれにあたります。
「なぜそうするのか。それによりどんな価値を提供するのか。」
確固たる座標軸を持っているからこそ、発言や行動がブレることなく、上司からも、部下からも、そして何よりも顧客から信頼されるのではないかと思います。
まだまだ非力ながら、ITツールを開発する企業として私たちもコンセプトを抱えています。
「ITツールをもっと手軽なものにして、ITの力で世の中を豊かにする」
というものです。
2020年、新型コロナウイルスにより働き方が大きく変わろうとしています。
新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした「新しい生活様式」では、接触機会を減らす「新しい働き方」が提言されています。
ビデオ会議やオンラインセミナーなど非対面でのニーズはこれまで以上に高まっています。
私たちはそんな新しい時代のビジネスを少しでもスムーズにするために、ITの可能性を追求していきます。
さて、いよいよ物語も大詰めを迎える半沢直樹。
9月6日の放送ではコロナ禍で撮影が間に合わず異例の生放送となりました。
残すところあと3回。
さらなる名言は生まれるのか。
今後も半沢直樹から目が離せません。
オンライン名刺交換機能が追加されました
ネクスタ・メイシにオンライン名刺交換機能が追加されました。
非対面でも誰でも簡単に名刺交換することができます。
ネクスタ・メイシは「withコロナ」時代の新しい働き方をサポートします。